嫡出制度の改正

 先の国会で嫡出制度に関する民法の規定が改正されました。

 嫡出子とは夫婦の間の子のことで、よく時代劇に出てくる「嫡男」というのは嫡出の男子のことです。これに対し非嫡出子というのはザックリいうと愛人の子、妾腹の子をいいます。

 婚姻中に生まれた子は嫡出子と推定されます。要するに妻が産んだ子は夫の子と推定されるということです。改正前は嫡出関係を否定することができるのは夫のみで、その期間も1年間に限られていました。妻が出産して2年ぐらい経ってから、「自分と全く似てないな。」と思っても、もう嫡出関係を否定することはできませんでした。

 豊臣秀頼は実は秀吉の子ではなく、淀殿と石田三成の子ではないかといわれることがありますが、秀吉は嫡出関係を否定できないのです。実際のところ昔はDNA検査など無かったので、夫が実は生物学上は自分の子でない子を嫡出子として養育している場合が数パーセントはあったのではないでしょうか。

 

 ところで、無戸籍児問題というのをご存じでしょうか。

 夫婦関係が破綻しているのに離婚が成立しない状態で、妻が別の男性Yと性的関係を持ち、子を出産した場合、その子は生物学的にはYの子ですが、嫡出推定により夫のこと推定され、出生届を出すと戸籍上夫の子となっていました。そのため、妻としては戸籍上夫の子となってしまうのを避けるために出生届を出さずに放置してしまい、戸籍のない子が生じてしまうのです。今回の嫡出制度についての改正より一定の範囲で無戸籍児問題を解消することができるようになりました。すなわち、①嫡出関係を否定できるのは夫のみでしたが、妻や子からも嫡出関係を否定でき、②その期間も1年間から3年間となり、③妻が上記のYと婚姻した場合には、子はYの子と推定されるなどと民法が改正されたのです。この改正によって無戸籍児となってしまう場合が一定数減るものと思われます。法律の施行は令和6年(2024年)6月以降からですし、法律の条文は結構複雑ですので、もし夫の子ではない子を身ごもってしまった場合は、早めに弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

 また、今回の改正で、親権者の懲戒権の規定が削除されるとともに、親権者は子の人格を尊重し、「体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。」という条文(民法821条)が新設されました。子の虐待問題に対応した法改正となります。

 

 約半年ぶりのブログ更新です。来年はもう少し頻繁に更新したいと思います。よいお年をお迎えください。