WEB相談とビデオリンク尋問

 新型コロナの感染拡大で、WEB会議が多用されているようだ。新型コロナ収束後も政府の「新しい生活様式」に従えば、弁護士業務においてもWEB法律相談の需要が高まってくるように思われる。

 私は、全ての法律相談についてWEB方式で行うことは難しいのではないかと考えている。法人の依頼者の場合何とかなるかもしれないが、私のように個人の家事事件や刑事事件を多く扱っている弁護士の場合、やはり肝心なところは直接対面してやり取りする必要があると思われる。

 

 一般の人にはほとんどなじみがないと思われるが、新型コロナ騒ぎの前からビデオリンク尋問という証人尋問の方法が認められている。

 本来なら証人に法廷に来てもらい法廷の証言台で証言してもらうのが原則なのだが、犯罪被害者など法廷に来て証言するとプレッシャーを受けて精神的に不安定になると考えられる場合に法廷と証人がいる部屋とをビデオでつないで証言してもらうという方法である。

 私は刑事事件で2度ほどビデオリンク尋問を経験したことがあるが、隔靴掻痒という感じがする。私も被害者をいじめようとは思っていないので、争いのない事件ではそもそも被害者の証人尋問を求めないで被害者の供述調書を証拠とすることに同意することが多い。他方、争いのある事件は、被害者が嘘をついている、思い違いをしている、話を盛っていると弁護人が考えている場合である。この場合、被害者を証人尋問して、被害者の嘘や勘違いを質すのが弁護人の役目である。

 ビデオリンク尋問の場合、証人は個室でカメラを前にして証言することになるが、それだと裁判官、裁判員、傍聴人の目がある法廷で証言する本来の場合に比べて気楽に嘘が言えるような気がする。また、証人の言葉のニュアンス、微妙な表情の変化や態度の変化もビデオリンク方式では十分に見て取ることができない(例えば、証人の手が震えているとしてもビデオで映る範囲外なので分からない。)。

 そういう訳で、裁判の勝敗の分かれ目となる証人を尋問する場合、ビデオリンク尋問では限界があり、本来の法廷での尋問を行うべきだというのが私の意見である。

 

 WEB法律相談はビデオリンク尋問と共通する点が多いと思われる。これだけIT化が進歩しているわけだから、昔みたいに全ての相談を直接面談で行う必要はないと思う。実際私もコロナの前から電話相談に応じてきたし、依頼者とメールで打ち合わせすることも多い。しかし、初回の法律相談であったり、事件の方針に関する重要な打ち合わせについては、まさに「膝詰め」で依頼者と話したり、説得することが必要な場合はなくならないように思われる。

 

 法律相談は、弁護士業務の基本に関わる重要な業務であるが、コロナ後の法律相談業務をどのようにすべきかとても悩ましい問題と思う。