ホンマに ええの?

 幼いお子さん(3歳未満)を持つ夫や妻から離婚の相談を受けることがしばしばある。当然、結婚期間も5年未満ということが多い。

 そんなとき、私は相談に見えた方に「本当に離婚でいいんですね。」と必ず念を押すことにしている。その日にすぐ受任せず、「気が変わらなかったら、また相談に来て下さい。」といって相談のみで終了することも多い。

 はっきり言って赤子は無敵である。言葉で説得することは不可能だし、こちらの気持ちや都合に配慮して行動してくれることもない。タイミングの悪いときに伝染病などに罹ってしまい、予定していた計画が全部ダメになることもしばしばである。新米ママ、新米パパの負担は大変であり、精神的にも大きなストレスがかかる。

 

 2人だけの時は、何の問題もなかった夫婦関係に、赤子の存在が大きな陰を落とす。「こんな人とは、もうやってられない。」と思ってしまう。オマケに外野(双方の両親や親戚)の存在も無視できなくなってくる。抱き癖がついちゃいけないとかミルクの飲み方が少ないとか、てんでバラバラに勝手なことを言い出す(双方にとって初孫だったりするとさらに問題は複雑である。)。

 結局、もう離婚するしかないとなって、弁護士事務所に相談に来ることになる。

 

 ここで、さっさと受任してしまう方が、事務所経営にとってはプラスなのかもしれないが、私は「ちょっと待てよ」と思ってしまうのである。

 少なくとも数年前まで愛し合っていた2人のはずなのだ。外野は反対したかもしれないが、幸せな家庭を築こうと思って一緒になったはずなのだ。子育ては確かに大変なことだし、ストレスもたまるけれど、長い人生を考えれば本当に短期間のことである。ここを乗り越えれば、子育てが一段落した時点で、「あのときは大変だったけど、お互い頑張ったよね。」と思える日が来るかもしれない。家族の楽しい思い出がたくさんつくれるかもしれない。もちろん、泥沼化して収拾がつかなくなる可能性を否定はしないけれど…。

 

 「離婚で、ホンマにええの?」よくよく考えた上で、決断してほしいものである。離婚は2人だけの問題ではなく、赤子の将来にとっても大問題なのだから。