平成の30年

 平成も残すところあと1ヶ月を切りました。私が司法修習生(弁護士などの実務家になるための研修生)になったのが平成4年4月、弁護士になったのが平成6年4月ですから、ほぼ平成の30年をカバーしているとも言えます。

 平成の30年の間に、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法どれも大幅な改正がありました。

 私が弁護士になった当時は、民事訴訟法が改正される前で、また、電話で打ち合わせをしたり、書面をファックスで送ったりすることが認められていませんでした。書面も今のA4横書きではなく、B4を二つ折りにして縦書きというものでした。大阪での勤務弁護士時代には、わざわざ書面を提出するためだけに、関西各地の裁判所支部(兵庫県の龍野支部、奈良県の五條支部など)に赴いたものです。

 今や、ファックスでさえ前時代の遺物となりつつあり、世の中はスマホ全盛です。私が携帯電話を持ったのは、妻が長女を妊娠していた平成9年、何かあった時の連絡に便利だからというのが最初でした。

 私の弁護士生活で平成の時代に一番大きかった変化は、何と言っても裁判員裁判制度が始まったことです。裁判員裁判制度は今年の5月で制度開始10周年ですが、私自身はその数年前の準備段階から関わってきていますので、関わりは十数年、弁護士生活の半分以上に及ぶことになります。

 10年経ちましたが、裁判員の辞退率の高さ、評議の授業化、弁護人のプレゼンテーション能力、審理期間の長さ等々改善すべき問題はたくさんあります。「弁護人が被告人のために検察官と対等に渡り合っている。」、裁判員からそういう風に感じられる法廷弁護活動を私自身を含めて全ての弁護人ができるように、日々努力を重ねたいものだと感じます。

 時代は「令和」になりますが、これから30年後、50年後…裁判や弁護士をめぐる環境はどんな風になっているのでしょうか。空想をめぐらせれば尽きることはありませんが、それはまたの機会に。