相続関係調査

 「人の死」は避けられないものです。人が亡くなると相続が発生します。また、高齢で自身の財産を管理することが難しくなった場合、成年後見人制度が利用できます。

 相続や成年後見人制度の利用の前提として、相続人(成年後見制度利用の場合は「推定相続人」以下、同じ)の調査が必要になります。夫が亡くなった場合を例に考えてみましょう。

 

 夫が亡くなり遺族(相続人)が妻と子だけの場合は調査は比較的簡単です。

 しかし、夫婦に子がいないと、夫が普通の寿命で亡くなった場合、既に夫の父母は亡くなっていることが多く、その場合、相続人は妻と夫の兄弟姉妹、場合によると甥姪となります。また、夫に離婚歴があり、前妻との間に子がいるとその子も相続人になります。兄弟姉妹がたくさんいたり、音信不通になっている相続人がいたりすると相続人の調査は結構面倒なことになります。市区町村役場から戸籍の写しを取り寄せれば良いのですが、一般の方だと苗字が違う人の戸籍をとるだけでも面倒なようです。また、相続人が兄弟姉妹の場合、原則として夫の父母が生まれた時点に遡って戸籍を取り寄せる必要があります。いわゆる「隠し子(兄弟姉妹)」がいなかったかどうか確認する必要があるためです。そうすると、夫の祖父母の戸籍まで取り寄せる必要があり、時には、夫の祖父母が江戸時代(慶応、嘉永等)の生まれだったりすることもあります。

 さらに、北海道の方はご先祖が内地から来た方も多いため、ご先祖の戸籍が道内にないことも珍しくありません。現にこの間、四国の戸籍を取り寄せたこともありました。

 

 このように相続人を調査して相続人を確定するだけでも結構手間がかかり、一般の方でも不可能とはいいませんが、かなりの手間暇が必要です。

 相続人調査の作業は、相続について親族間でもめごとが無い場合でも必要となります。例えば、亡くなった方の銀行預金を引き出すためには、原則として相続人全員の承諾が必要となり、銀行に戸籍関係の書類を提出することが必要になります。最近、法務局で法定相続情報証明制度が開始されましたが、これも、一度は戸籍関係の書類を全て取り寄せて、法務局に申請する必要があります。

 このような手間暇を考えると、預金が数万円ある程度なら、引き出すのをあきらめた方が得なぐらいです。他方で亡くなったご親族が土地建物を有していたり、結構な額の預金を遺されている場合もあるでしょう。この場合、遺産を分割したり処分するには前提として相続人を調査して確定する作業が必要です。

 

 相続人調査・確定はなかなか一般の方には面倒なことが多く、そのため問題を先送りにしがちです。しかし、問題を先送りにしていると、その間にさらに他の親族が亡くなったりして相続関係が複雑になり、収拾困難になることすらあり得ます。

 

 当事務所では、遺産分割、成年後見申立のご依頼だけでなく、相続人調査・確定だけのご依頼も受けておりますので、お気軽にご相談下さい。